(横浜GRITS)【チームレポート】ホーム開幕へ、悔しさを胸に

悔しいの一言に尽きる開幕戦となった。「人生で0-12というスコアで負けること自体が初めてだった」第一戦でチーム初の得点者となった平野裕志朗も表情に悔しさをにじませる。

横浜GRITSの記念すべきアジアリーグ初陣となった10月10、11日の試合、チームはそれぞれ1-8、0-12というスコアで敗れた。アウェー苫小牧の地で相対した王子イーグルスは昨季、レギュラーシーズンで日本チームトップの3位という成績を残した強敵だ。キャプテンの菊池秀治も「苦戦することは分かっていた」と振り返る。

「その中で自分たちがどのようにグリッツのホッケーをやるか、どういう収穫を得て、反省点を学べるか、そういうことが大事だと思っていました。そういう意味では、プロスポーツという場で多くの方がお金を払って見に来てくださっている中で表現としては正しくないかもしれませんが、良い経験はできたんじゃないかと思っています。試合後もみんなに『これがアジアリーグだよ、ここが自分たちの現在地、ここから何をすべきかみんなで考えよう』という話をしましたし、みんなしっかり聞いてくれたと思っています」

試合は守勢に回る時間が大半を占めた。しっかり4セットを組んで戦うイーグルスに対し、GRITSは数で下回るビハインドを試合前から背負っていた。事実、運動量に勝るイーグルスが終始GRITSを自陣に押し込み、インテンシティーの違いをまざまざと見せつける展開となった。しかし、問題の本質はそこになく「戦う姿勢」だったと平野は言う。

「相手をリスペクトするというより『自分たちより上だな』という感覚をみんな持ってしまっていたと思います。そこはお互いプロである以上、戦う姿勢や、自分たちもプロなんだ、という気持ちを見せないといけない。何かしらの言い訳や滑り止めをつけたような状態で試合に臨むのが1番ダメだと思いますし、そういった不安が連鎖して悪循環に陥ってしまった試合だったと思う。もちろん自分も含めて、もっともっと戦う姿勢を見せて『俺らだってできるんだぞ』という気持ちを持ってプレーしなければいけないと思います」

平野裕志朗

この試合がアジアリーグデビューとなった池田涼希も、悔しい敗戦が改めて自身を見つめ直す機会になったという。

「今まで大学で通用していたことが全くと言って良いほど全部通用しなかったです。やっぱりアジアリーグのレベルを痛感としたというか、実力を身をもって感じて、このままじゃ本当にダメだなと」

心待ちにした初めての舞台は、しかし池田に現実を突きつけた。イーグルスとは学生時代に対戦した経験があったが「アジアリーグという舞台でやると相手の気持ちも違いますし、やっぱりそういう面もレベルの高さを感じました」と唇を噛む。失意のデビュー戦とはなったが、それでもチームのために戦わねばと顔を上げ、言葉をつなぐ。

「チームもディフェンスが手薄な状況で、フォワードの選手もディフェンスに入ってプレーしている。自分もみんなを助けなければいけないと思いますし、どこででもプレーできるような準備は常にするように心がけています。そして自分の脚で相手を混乱させて、少しでも疲れさせる。そういった自分のやるべきことを続けていく先に結果がついてくると思うので、しっかり自分の役割を果たしていきたいです」

アウェーで迎えたシーズン開幕から1週間、今週末いよいよホームでの開幕が控える。再び横浜へと戻ったチームは来るべき試合へ向けて準備を続ける。「今日の練習もまだ全然(意識が)足りていない。この前の試合からどれだけ気が付けるかでプロとしての成長が違うと思う」平野が発する言葉は変わらず厳しい。そしてホームでの開幕への気持ちを続ける。

「開幕戦のスコアは世の中に出てしまっていますけど、それでも勝ちたいという気持ちが誰が見ても分かるようなプレーをしなければいけない。自分もそのきっかけを作るようなプレーをしなければいけないですし、見に来てくれた人に喜んでもらえるようなプレーをしたい」

ルーキーイヤーを戦う池田も思いは一緒だ。「先週末のような試合は絶対にしてはいけない」と言葉に熱がこもる。

「見にきてくれる方々に少しでもグリッツのホッケーを見せたいと思いますし、ひとりでも多くのファンを獲得して今後もグリッツを応援していただけるような試合をしたい。死ぬ気でホーム開幕戦を勝ちにいくことしか考えていません。僕らはチーム力を大切にしているチーム、そういう姿を見せていければと思います」

池田涼希

酸いも甘いも噛み分けてきたキャプテンの菊池も、ホームでの開幕にはやはり意気がみなぎる。そしてくだんの大敗からも継続しなければならないことはあると説く。

「苫小牧での試合、最後は疲れている中ではありましたけど、みんな気持ちは折れていなかったし、最後の笛が鳴るまで60分間戦っていたと思う。そういうやり抜く姿勢、最後まで戦い抜く姿勢の上で初めて戦術が生かされると思うし、チームが常に120%の力を発揮できるよう僕も仲間をサポートしていきたいと思います」

苫小牧での試合後、ロッカーで仲間に言葉をかけた菊池の目には涙が溢れていたという。「僕はいつも口うるさく言うタイプなので、ああいう話し方になったからみんなしっかり聞いてくれたのかも」とはにかむが、その涙には誰よりもチームを、そしてチームを支える人々を思う菊池の人柄が宿る。

「いろんな人の思いが集まったホーム開幕戦だと思いますし、それをアイスの上で表現できるのは選手の特権。その中で自分たちの思いが伝わる試合をしたいと思います。ホームでの開幕はやっぱりすごく楽しみですよ」 悔しい黒星がアジアリーグでの一歩目となったGRITS、それでもチームは歩みを止めず、横浜での開幕に向かう。

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