(横浜GRITS)【チームレポート】初勝利へ、越えるべき壁とは

0勝10敗。新規参入チームにとって、アジアリーグの壁は高かった。数字だけを見ればそうかもしれない。しかし試合を重ねるにつれ、その壁は低くなっているのではないだろうか。

開幕2戦目、王子イーグルス戦での大敗は、今になって振り返ると現在地を知るために必要なものだった。松渕雄太は「敗戦で気付くことも多くあったし、同じアジアリーグの舞台で戦う以上はしっかりといい試合をしないといけないという責任感が生まれた」と話す。

目に見える変化もあった。新型コロナウイルスの影響で来日が遅れていたマイクHCがチームに合流。ロマン・アレクセエフ、マット・ナトルの外国人DF2選手も加わった。
キャプテンの菊池秀治は「マイクHCがいるときといないときで雰囲気はガラッと変わりますし、やる練習内容も変わってきた」とチームのさらなる結束を実感する。

松渕雄太

マイクHCとロマンが合流した10月31日、11月1日の東北フリーブレイズ戦。2試合目は開始1分に松渕が先制ゴールを決めるなど、2-0と初めてリードする。しかし、第1ピリオド残り2分から2失点し、2-2の同点。その後逆転されるが、最終ピリオド残り約5分で再びリードを奪う。このまま逃げ切れば初勝利、しかし現実はそう甘くなかった。すぐに同点に追い付かれると立て続けに3失点し、結果は4-6で敗戦となった。

経験の差が出たと選手たちは口をそろえる。松渕は「やっと相手を苦しめることができた試合だったが、やはり最後は気持ちだと思う。勝っているから守りに入るのではなく、勝っているからこそしっかりと攻めることが必要だった」と冷静に分析した。
11月7、8日は9月にプレシーズンマッチで対戦したH.C.栃木日光アイスバックスをホーム新横浜に迎えた。結果は同じ2連敗だったが、約1か月半前にはなかった手応えが確かにあった。リードされても諦めず、最後までパックを追い続ける姿勢からは浅沼監督も「チームのコンビネーションは非常に良くなっている」と成長を感じている。

ルーキーたちも躍動した。フリーブレイズ戦では高井優希、翌週のアイスバックス戦では矢野倫太朗が初ゴール。高井は大学とアジアリーグの違いについて「全員が常に先を読んでプレーしている」点を挙げた。「詰めの速さは大学ホッケーにはないもので、経験からくる直感や読みはすごいと思った」と話し、ロマン、マットの両外国人DFからも学ぶことは多いという。矢野も「小さなプレーの精度や2試合を戦い抜く体力やコンディションを、これからどんどん上げていきたい」と貪欲だ。

矢野倫太朗

菊池もチームの流れを変える選手が出てくることを期待する。「みんなこれからひと皮もふた皮も剥ける要素があると思う。流れが悪いときに点を決める、守らないといけないときに守るなど、苦しいときこそ自分のプレー、自分の強みをしっかり出すことができれば、今のこの差は埋まっていくと思う。いつも惜しいところで失点してしまったり、流れを引き寄せないといけないところで自分たちのプレーができなかったりというケースが多いので、もう一つ自分たちが意識しなければいけない部分だと思う」。

2021年1月以降の日程が発表されたが、2020年内のホームゲームは11月21、22日の東北フリーブレイズ戦が最後となる。平野裕志朗、池田涼希とともに第1セットを組む松渕は「一つ目はやはり看板セットなので、自分たちが決めないと勝てる試合も勝てなくなってしまう。チームを勝ちに導くゴールを決め、ホームのファンへ早く一勝を届けられるように。まずはそこだけを目標にやっていきたい」と決意を口にした。

氷上で一人一人が自分の役割を全うする、シンプルだからこそ難しい。だがその壁を破ったとき、新規参入チームの新たな歴史が刻まれる。

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